木造住宅の構造・耐震性
2024.08.18 有澤 章介
こんにちは。
酒井建設 有澤です。
お盆休み前の8日、宮崎県で震度6弱の揺れを観測したマグニチュード7.1の地震を受けて、国は南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震への注意を呼びかける臨時情報が発表 されました。同発表から1週間経過した15日に呼びかけは終えたものの、より一層、大型地震への注意と備えが必要と感じた方も多くいらっしゃると思います。
今回は、人命と財産を保護するために欠かせない性能である木造住宅の構造・耐震性について投稿します。
【木造住宅の構成】
伝統的な木造軸組工法の木造住宅は主に以下の要素で構成されています。
- 基礎:コンクリート製で、地盤と建物を繋ぐ重要な部分
- 土台:基礎の上に設置され、柱を支える横木
- 柱:垂直方向の主要な構造部材
- 梁・桁:水平方向の構造部材で、屋根や床を支える
- 筋交い:斜 めに入れる部材で、建物の耐震性を高める
- 床組:床を支える構造
- 屋根組:屋根を形作る骨組み
- 壁:外壁と内壁があり、断熱材や防湿シートなども含む
これらの要素が組み合わさることで木造住宅が完成します。
【木造住宅の構造・耐震設計】
木造住宅の耐震性について、重要なポイントをいくつか挙げてご説明します。
1.構造的特徴
木材の柔軟性:木材は適度な柔軟性を持ち、地震の揺れを吸収しやすい特性があります。
軽量構造:木造住宅は比較的軽量なため、地震時の建物にかかる力が小さくなります。
2.耐震設計
筋交い:斜めに入れる部材で、建物の変形を抑制します。
耐力壁:合板や構造用パネルを使用し、壁全体で力を受け止めます。
金物による接合:柱や梁の接合部に金物を使用し、結合強度を高めます。
基礎との接合: アンカーボルト:建物と基礎をしっかりと緊結し、基礎から柱が抜けることを防ぎます。
これらの要素を考慮することで、木造住宅の耐震性を高めることができます。
※この木造住宅の耐震性を高める基本的な手法は、後述の耐震構造の種類の①に該当します。
【耐震等級】
耐震等級は、建築基準法で定められた最低限の耐震基準(等級1)を上回る耐震性能を持つ住宅に与えられる格付けです。等級1、2、3の3段階があり、数字が大きいほど耐震性能が高くなります。
等級1: 建築基準法で定められた最低限の耐震基準です。
中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を受けません。 大規模の地震(震度6強から7程度)に対しては、1度は耐えられる耐震性です。ただし、即時倒壊や崩壊はしないものの、その後大規模な修繕や住み替えが必要になると想定されます。
等級2: 等級1の1.25倍の耐震性能を持ちます。
中規模の地震(震度6強程度)に対して、ほとんど損傷を受けません。 大規模の地震(震度7程度)でも、建物の機能を維持できる可能性が高くなります。
等級3: 等級1の1.5倍の耐震性能を持ちます。
大規模の地震(震度7程度)でも、建物の損傷を最小限に抑え、継続して居住できる可能性が非常に高くなります。大地震後も修復の必要性が低く、継続的な居住が可能な可能性が高いです。また、震保険料の割引が最大限適用され、住宅の資産価値維持に大きく寄与します。
今般では、耐震性の重要性・関心が強くなり、耐震等級3(最大等級)を標準仕様とする建築会社が多くなっています。
【耐震構造の種類】
建物の耐震性を高めるのには、一口に「耐震」といっても次の3つの手法があります。
①耐震構造:建物自体の強度を高めて地震に耐える構造 ※代表的な手法
特徴:柱や梁、壁などの構造部材を強化し、筋交いや耐力壁を適切に配置。比較的コストが低く、一般的な住宅に広く採用されている
②制震構造:建物に振動エネルギーを吸収する装置を設置し、揺れを抑制する構造
特徴:ダンパーなどの制震装置を使用し、地震エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収。建物の揺れを大幅に軽減できる
③免震構造:建物と地盤の間に免震装置を設置し、地震の揺れを建物に伝えにくくする構造。
特徴:積層ゴムやすべり支承などの免震装置を使用して建物全体を地面から切り離し、建物内の揺れを大幅に軽減、家具の転倒や内部損傷のリスクを低減する。3つの中で最も高コストで、建物周囲にクリアランスが必要
簡単にまとめると…
耐震: 建物自体で耐える
制震: 揺れを吸収して軽減する
免震: 揺れを建物に伝えにくくする
【酒井建設の提供する建物の耐震性】
南海トラフ巨大地震が起きる確率は今後30年以内に70パーセントから80パーセントとされています。酒井建設では、高知県での大型地震に対する備えとして、耐震等級3の取得を標準仕様とし、また、建物の継続利用を前提とした+制震工法(制震テープ工法※)を提案しています。
※ 制震テープ®工法とは、アイディールブレーン株式会社の商品で、両面テープ状に加工した粘弾性体を分散配置し、建物そのものを制震装置として機能させ、住宅をまるごとダンパーにする工法です。粘弾性体は、夏に柔らかく、冬に硬くなるという欠点がありますが「常に建物全体でやさしく地震力を受け止める」のでバランス良く制震性能を発揮します。制震テープ®を施工した住宅は、繰り返しの大地震を受けても住宅の揺れはほぼ同じ変位を保つことができ、建物への損傷を抑えることができます。
画像引用:アイディールブレーン株式会社
https://ibrain.jp/tape_main.html
酒井建設では新築だけでなく、リフォームによる既存住宅の耐震補強の相談も承っております。
お気軽にご相談ください。
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