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木造住宅の耐震補強

2024.09.08 有澤 章介

【木造住宅の耐震補強について】

今般、耐震補強に関する相談が増えてきました。

南海トラフの注意喚起による防災意識の高まりや、物価高騰による既存住宅の活用の後押しが耐震補強のニーズに繋がっていると考えられます。

 

【耐震補強とは】

耐震補強とは、既存の建物の耐震性能を向上させるための改修工事のことです。木造住宅の場合、以下のような方法が一般的です:

  1. 筋交いの設置: 壁に斜めの木材や金属製の部材を取り付け、横からの力に対する抵抗力を高めます。
  2. 耐力壁の増設: 合板や構造用パネルを使用して、壁の強度を向上させます。
  3. 基礎の補強: 鉄筋コンクリートによる基礎の補強や、アンカーボルトの追加設置を行います。
  4. 金物補強: 柱と土台、梁と柱などの接合部を金具で補強し、建物全体の一体性を高めます。
  5. 屋根の軽量化: 重い瓦屋根を軽い金属屋根に交換するなど、建物にかかる重量を軽減します。

 

耐震補強を行うことで、地震時の倒壊リスクを大幅に低減できます。ただし、建物の状態や年数、構造によって最適な方法が異なるため、専門家による診断と設計が重要です。

また、日本政府は耐震改修促進法に基づき、耐震診断や耐震改修工事に対する補助金制度を設けていますので、ご利用いただける補助金のご提案をさせていただいております。

 

【耐震補強のポイント】

  1. 耐震診断の重要性: 耐震補強を行う前に、まず耐震診断を受けることが重要です。これにより、建物の現在の耐震性能が明らかになり、どの部分に弱点があるかを特定できます。診断結果に基づいて、効果的かつ効率的な補強計画を立てることができます。
  2. 耐震補強の具体的な方法: a. 制震ダンパーの設置: 建物の揺れを吸収する装置を取り付けることで、地震エネルギーを熱エネルギーに変換し、建物の損傷を軽減します。 b. 耐震シェルターの設置: 寝室などの一部屋を特に強化し、地震時の安全空間を確保します。 c. 屋根裏や床下の補強: 見えにくい部分の補強も重要です。特に古い建物では、これらの部分が弱点になっていることがあります。
  3. 耐震等級: 日本の建築基準法では、耐震等級を13で定めています。等級が高いほど耐震性能が高く、等級3は等級11.5倍の強度を持ちます。耐震補強を行う際は、可能な限り高い等級を目指すことが望ましいです。
  4. コストと工期: 耐震補強のコストは建物の状態や補強の程度によって大きく異なりますが、一般的に100万円〜300万円程度かかることが多いです。工期は通常12週間程度ですが、大規模な改修の場合はさらに時間がかかる場合があります。
  5. 耐震補強と同時に行う改修: 耐震補強工事を行う際に、断熱改修やバリアフリー化などの他の改修工事を同時に行うことで、コストを抑えつつ住宅の総合的な性能を向上させることができます。
  6. 専門家の選択: 耐震補強を行う際は、経験豊富な建築士や施工業者を選ぶことが重要です。複数の業者から見積もりを取り、提案内容を比較検討することをお勧めします。
  7. 地震保険との関係: 耐震補強を行うことで、地震保険料が割引になる場合があります。保険会社に確認することをお勧めします。

 

これらの点を考慮しながら、自宅の状況に合わせた最適な耐震補強計画を立てることが大切です。

 

【耐震補強の手順】

1.事前調査と計画

耐震診断の実施

    • 専門家に依頼し、現在の建物の耐震性能を評価
    • 弱点箇所の特定と必要な補強レベルの決定

補強計画の立案

    • 診断結果に基づいて、適切な補強方法を選択
    • 予算と工期の検討

必要書類の準備

    • 建築確認申請書(必要な場合)
    • 設計図書、構造計算書

2.施工準備

業者の選定

    • 複数の見積もりを取得し、比較検討
    • 実績や資格を確認し、信頼できる業者を選択

工事内容の確認

    • 具体的な補強箇所と方法の最終確認
    • 工期と費用の確定

居住者への説明

    • 工事期間中の生活への影響を説明
    • 必要に応じて一時的な転居の検討

3.補強工事の実施

基礎の補強

    • 既存基礎の状態確認
    • 必要に応じてコンクリート打設や鉄筋の追加

壁の補強

    • 筋交いの設置
    • 構造用合板による耐力壁の増設

接合部の補強

    • 金物による柱・梁・土台の接合部強化
    • アンカーボルトの追加設置

屋根の軽量化(必要な場合)

    • 重い屋根材の軽量な材料への交換

床・天井の補強

    • 水平構面の剛性向上
    • 必要に応じて床下・小屋裏の補強

4.仕上げと検査

  1. 補強箇所の仕上げ
    • 内装の復旧
    • 外装の修復(必要な場合)
  2. 最終検査
    • 施工品質の確認
    • 必要に応じて建築主事による完了検査

5.事後対応

  1. 補強証明書の受領
    • 耐震性能が向上したことの証明書を取得
  2. 保険の見直し
    • 地震保険料の割引適用の確認
  3. メンテナンス計画の作成
    • 定期的な点検スケジュールの設定

 

酒井建設では、耐震改修の実績が多数ございます。

是非、ご気軽に相談ください。